ラズベリーパイとは
Raspberry Pi（ラズベリーパイ）は、ラズベリーパイ財団によって英国で開発されたARMプロセッサを搭載したクレジットカード大のコンピュータです。
「世界中の子供たちが入手しやすい教育用コンピュータの開発と普及」を目的に開発されました。初代モデルは３５ドルと格安であったこともあり、世界中で大ヒットしました。
2012年2月の初代ラズベリーパイ モデルA発売以来、2015年ラズベリーパイ２、2016年ラズベリーパイ３，2018年ラズベリーパイ３＋、2019年ラズベリーパイ４と性能UP,ラインナップを拡大してきました。
ラズベリーパイの種類
２０２１年現在で、日本国内で購入可能なラズベリーパイのモデル一覧は以下の通りです。
| A+ | B+ | 2B | 3A+ | 3B | 3B+ | 4B | |
| SoC | BCM2835 | BCM2835 | BCM2836 | BCM2837B0 | BCM2837 | BCM2837B0 | BCM2711 |
| CPU | シングルコア 700 MHz | クアッドコア 900 MHz | クアッドコア 1.2 GHz | クアッドコア 1.4 GHz | クアッドコア 1.4 GHz | クアッドコア 1.4 GHz | クアッドコア 1.5 GHz |
| メモリー | 512 MB | 512 MB | 512 MB | 512 MB | 1 GB | 1 GB | 2/4/8 GB |
| 通信 | 有線LAN | 有線LAN | Wi-Fi(b/g/n/ac) 2.4 GHz and 5GHz, Bluetooth 4.2, BLE | 有線LAN/ Wi-Fi(b/g/n) 2.4 GHz, Bluetooth 4.1, Bluetooth Low Energy | 有線LAN/ Wi-Fi(b/g/n/ac) 2.4 GHz and 5GHz, Bluetooth 4.2, BLE | 有線LAN/ Wi-Fi(b/g/n/ac) 2.4 GHz and 5GHz, Bluetooth 5.0, BLE | |
| USB2.0 | 1 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 2(+2:USB3.0) |
| A+ | B+ | 2B | 3A+ | 3B | 3B+ | 4B | |
| ストレージ | micro SDカード | micro SDカード | micro SDカード | micro SDカード | micro SDカード | micro SDカード | micro SDカード |
| GPIO | 40 ピン | 40 ピン | 40 ピン | 40 ピン | 40 ピン | 40ピン | 40ピン |
| (推奨)電源電力 | 3.5W | 9W | 9W | 12.5W | 12.5W | 12.5W | 15W |
| 定価 | 20ドル | 25ドル | 35ドル | 35ドル | 35ドル | 35ドル | 35/55/75ドル |
| A+ | B+ | 2B | 3A+ | 3B | 3B+ | 4B |
| Pico | Zero v1.3 | Zero W | Zero WH | |
| SoC | RP2040 | BCM2835 | BCM2835 | BCM2835 |
| CPU | デュアルコア 133 MHz | シングルコア 1 GHz | シングルコア 1 GHz | シングルコア 1 GHz |
| メモリー | 264 kB | 1 GB | 1 GB | 1 GB |
| 通信 | Wi-Fi(b/g/n) 2.4 GHz, Bluetooth 4.1, BLE | Wi-Fi(b/g/n) 2.4 GHz, Bluetooth 4.1, BLE | ||
| USB | 1(micro USB) | 1(micro USB) | 1(micro USB) | 1(micro USB) |
| Pico | Zero v1.3 | Zero W | Zero WH | |
| ストレージ | micro SDカード | micro SDカード | micro SDカード | |
| GPIO | 26 | 40 | 40 | |
| (推奨)電源電力 | 6 W | 6 W | 6 W | |
| 定価 | 5 ドル | 10 ドル | 14 ドル | |
| Pico | Zero v1.3 | Zero W | Zero WH |
これらのほかに、Compute Moduleという、外部インターフェース（USB、HDMI、LAN、GPIOなど）を省略したモデルもありますが、電子工作用途にはそのままでは使用できないとの判断からそれらは除外しています。
Model A/Bの違い
A+とB＋、３A+と３B+のように、従来、ラズベリーパイにはModel AとModel Bという2種類のモデルがラインナップされてきました。
基板サイズ
ModelAとModelBの違いは、まず基板の大きさにあります。
| ModelA | ModelB | |
| Raspberry Pi １ | 65 mm x 56.5 mm | 85.6 mm x 56.5 mm |
| Raspberry Pi ３ | 65 mm x 56.5 mm | 85.6 mm x 56.5 mm |
ラズベリーパイを「クレジットカードサイズのコンピュータ」と呼ぶことがありますが、このときのラズベリーパイのサイズはModelBのサイズのことを言っています。
ModelAの基板サイズはModelBよりもさらに小さく、おおよそ正方形に近い形となっています。
ModelAはその基板サイズの小ささから、電子工作や、機器組込みに適しているといえるでしょう。
ただし、ModelAとModelBの違いは基板サイズだけではありませんので、注意が必要です。
USBポート数
ModelAとModelBの違いの２つめは、USBポートの数です。
| ModelA | ModelB | |
| Raspberry Pi １ | １ | ２ |
| Raspberry Pi ３ | １ | ４ |
ModelAは、基板サイズの小型化を実現するために、USBポートが１つしか搭載されていません。
USBハブを接続することによりポート数の拡張は可能ですが、その場合には、せっかくの小さな基板サイズが台無しになってしまいます。
USBハブを接続することなく利用することができる用途か？
を事前に検討する必要があるでしょう。
有線LANポート
ModelAとModelBの違いの3つ目は、有線LANポートです。
| ModelA | ModelB | |
| Raspberry Pi １ | 有線LANなし 無線LANなし | 有線LANあり 無線LANなし |
| Raspberry Pi ３ | 有線LANなし 無線LAN Wi-Fi(b/g/n/ac) 2.4 GHz and 5GHz, Bluetooth 4.2, BLE | 有線LANあり 無線LAN Wi-Fi(b/g/n/ac) 2.4 GHz and 5GHz, Bluetooth 4.2, BLE |
ModelAは、基板サイズの小型化を実現するために、有線LANポートも搭載されていません。
Raspberry Pi ３には、無線LANが搭載されていますので、有線LANが搭載されていなくても無線LANを使用すればよいですが、Raspberry Pi １には無線LANも搭載されていませんので、ネットワーク接続が必要な用途で使用するには、別途USB-WiFiドングルを使うなどの対策が必要になります。
ですが、ModelAにはそもそもUSBポートが一つしか搭載されていませんので、その貴重な一つをWiFiドングルに割り当てられるのかをあらかじめよく考えておく必要があります。
Raspberry Pi ４
2019年6月に発表された、ラズベリーパイの最新モデルです。
ラズベリーパイ３ B+からの大きな変化点は以下の通りです。
- CPU性能の向上：処理速度UPでデスクトップPC並みの性能
- ２４Kモニターをサポート
- デュアルモニター対応
- USB3.0またはUSB TypeCで電源供給が可能
- 豊富なポート
- メモリ増量（２GB/４GB/８GB)
もうほんと、ほとんどPCですね。
Raspberry Pi ３
２０１６年にラズベリーパイ３が、２０１８年にラズベリーパイ３＋が発表されました。
搭載されているCPUはどちらもARM CortexA53で一緒ですが、ラズベリーパイ３が１．２GHｚに対して、ラズベリーパイ３＋が１．４ＧＨｚに向上しています。
メモリは１ＧＢ搭載されており、一昔前のパソコンに匹敵する性能を実現しています。
ラズベリーパイＯＳやＵｂｕｎｔｕなどのＯＳでもストレスなく動作するので、サーバーから電子工作まで幅広く活用できます。
Raspberry Pi ２
ラズベリーパイ３の前モデルのラズベリーパイ２もいまだ併売されています。
性能面ではＰｉ３に一歩劣りますが、代わりに消費電力が抑えられています。
実際、推奨電源電力は、Ｐｉ３ Ｂ／Ｂ＋の２．５Ａに対し、Ｐｉ２は１．８Ａです。電子工作で部品を配線して組み付けてしまい、専用機として使う用途に向きます。
ＣＰＵの動作周波数が９００ＭＨｚとＰｉ３より低いため発熱量が少ないというメリットもあります。
Raspberry Pi １＋
Ｐｉ１Ｂ＋は、Ｐｉ２よりもさらに性能が低いモデルです。単機能のサーバー構築や電子部品の制御を、低いコストで実現したいときによいでしょう。
Raspberry Pi Zero
Ｐｉ Ｚｅｒｏは従来のラズベリーパイからＵＳＢポートをマイクロＵＳＢ化したうえで数を削減したり、ＨＤＭＩポートもミニＨＤＭＩにするなど、外部インターフェースを省くことで小型化をしたモデルです。
基板サイズが小型になっているため、組込み用途に向いています。
処理性能は同じCPUを搭載しているPi1B+と同等で、処理性能能面でも電子工作に使うのが良いでしょう。
PiZeroWはPiZeroにWi－FiとBluetooth通信機能を追加したモデルです。
PiZeroWHはGPIOのピンヘッダーが組付けられたアセンブリーモデルです。
Raspberry Pi Pico
Raspberry Pi財団が独自に開発したARM Cortex M0+デュアルコアのRP2040マイコンを搭載したマイコン基板です。ほかのラズベリーパイのように、シングルボードコンピュータではなく、マイコンボードです。
したがって、OSは搭載できません。
C/C++およびMicroPythonという専用のPython言語で開発が可能です。
C/C++ SDK、もしくは公式に提供されているMicroPythonインタプリタを使って開発が可能です。
MicroPythonはPython 3ベースの組み込み用プログラミング言語です。USBをPCに接続すると表示されるドライブ（マスストレージ）にドラッグアンドドロップすることでプログラムを書き込むことができます。
どのモデルを購入すればいいのか？
Raspberry Pi ３ B+
１台目に購入するなら、２０１８年６月に登場したRaspberry Pi ３ B+がよいでしょう。４コア、動作周波数１．４GHｚのＣＰＵ、メモリは１ＧＢ搭載しており、ラズベリーパイＯＳのＧＵＩ（グラフィカルユーザインターフェース：ＷｉｎｄｏｗｓやＭａｃのようなウインドウとマウスベースの操作画面）もモタツクことなく動作します。
Raspberry Pi ４ B
2台目以降でRaspberry Pi Picoの購入を考えておられる方には、１台目に購入するモデルに、最新モデルの４Ｂをオススメします。４Bはシリーズ最新、最高の処理能力を持ち、Raspberry Pi PicoとUSB接続するホストPCとして使用するのに最適です。
もちろんホストPCとして、WindowsやMacのPCも使用することができるのですが、Raspberry Pi４BがホストPCとしてもっとも親和性が高い印象を持っています。
Raspberry Pi PicoやZero、２B
電子工作用途限定で、2台目以降の追加購入することを考えると、Pico~2Bが価格も安く、買い足しやすいです。
ただ、Pico~2BだとCPUの処理能力は最新の3/4よりも低いですので、高い処理能力が必要な用途であるかないかの見極めだけは必要です。
電子工作用途で、人工知能（AI）による繰り返し処理や、画像処理が必要な用途でなければ、Pico~2Bで特に問題はないと思います。
なかでもPicoは内蔵フラッシュメモリにプログラムを書き込むため、SDメモリカードが不要で、コストパフォーマンス抜群です。
どこで購入すればいいのか？
日本国内どこに住んでいてもラズベリーパイを購入することができるという点では、通信販売がおすすめです。
ラズベリーパイを取り扱っている主な通信販売業者は以下の通りです。
- RSコンポーネンツ
- KYS
- スイッチサイエンス
- amazon
これらの主要通販業者のほかに、電子部品販売業者の通販サイトから購入することも可能です。以下のような通販サイトがあります。
- 秋月電子通商
- マルツオンライン
各通販業者毎の商品取り扱い状況と、価格（記事執筆時点：2021年10月）の価格を表にまとめてみました。
| A+ | B+ | 2B | 3A+ | 3B | 3B+ | 4B | |
| 定価 | 20ドル | 25ドル | 35ドル | 35ドル | 35ドル | 35ドル | 35/55/75ドル |
| RSコンポーネンツ | 2,383.7 | 3,375.9 | 4,701.4 | 4,659.6 | 4,709.1 | -(2GB)/ -(4GB)/ 9,735(8GB) | |
| KYS | 3,025 | 3,575 | 4,840 | 3,520 | 5,170 | 5,500 | 6,050(2GB)/ 7,920(4GB)/ 10,230 (8GB) |
| amazon | 5,778 | 6,580 | -(2GB)/ -(4GB)/ 15,000 (8GB) | ||||
| A+ | B+ | 2B | 3A+ | 3B | 3B+ | 4B | |
| スイッチサイエンス | 3,300 | 4,400 | 6,050 | 3,300 | 5,775 | -(2GB)/ 8,800(4GB)/ 10,340 (8GB) | |
| 秋月電子 | 5,000 | 3,900 | 4,800 | 5,800 | 5,200(2GB)/ 9,500(4GB)/ 11,800 (8GB) | ||
| マルツオンライン | 4,070 | 5,478 | 5,489(2GB)/ 7,678(4GB)/ 10,340 (8GB) | ||||
| A+ | B+ | 2B | 3A+ | 3B | 3B+ | 4B |
| Pico | Zero v1.3 | Zero W | Zero WH | |
| 定価 | 5 ドル | 10 ドル | 14 ドル | |
| RSコンポーネンツ | ||||
| KYS | 550 | 1,320 | 1,848 | |
| amazon | 870 | |||
| Pico | Zero v1.3 | Zero W | Zero WH | |
| スイッチサイエンス | 550 | 660 | 1,320 | 1,480 |
| 秋月電子 | 2,200 | |||
| マルツオンライン | 550 | 2,200 | ||
| Pico | Zero v1.3 | Zero W | Zero WH |
ラズベリーパイの各種モデルの取り扱いの豊富さで行くと、
- KYS
- スイッチサイエンス
価格の安さで行くと、
- RSコンポーネンツ
といった傾向にあるようです。
また、購入のしやすさで行くと
- amazon
となる方が多いのではないでしょうか？
普段の生活の中で、amazonのネット通販を使っていらっしゃる方には、そのほかの通販で購入する場合に必要となってくる、新たな会員登録などの手間が必要ありません。
また、amazon以外の通販で購入する場合、別途送料が必要となります。そのため、一概に「商品価格が安いところがいい」といえないところも、また煩わしいところです。
まとめ
初めてラズベリーパイを購入される方
amazonでラズベリーパイ ３ B+を、予算に余裕のある方は４Bを購入しましょう
すでにラズベリーパイをお持ちの方
前回ラズベリーパイを購入した通販業者、もしくは、すでにユーザー登録してある通販業者から、目的に応じたラズベリーパイを購入しましょう。
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